以下の要領で、日本カムリ学会の第23回例会を開催致します。本例会は、日本ケルト学会の東京研究会との合同開催となります。お誘い合わせの上ご参加下さい。
参加ご希望の方は、「お問い合わせ」より、参加ご希望の旨お知らせ下さい。
開催日時:2016年7月2日(土)14:00~17:30
場所:慶應義塾大学日吉校舎 来往舎 大会議室
プログラム
受付開始 14:00
個別報告 14:30~15:40
「再考:カムリ語地名・人名のカタカナ表記」
報告者 小池剛史氏
休憩 15:40~16:00
講演 16:00~17:30
「1847年ウェールズ『青書』を読み直す―
イングランド、帝国との関連も含めて」
講演者 平田雅博氏
報告要旨
個別報告
「再考:カムリ語地名・人名のカタカナ表記」
報告者 小池剛史氏
カムリ語の地名・人名のカタカナ表記に関し、第2回例会(2005年11月12日)において水谷宏氏による個別報告「カムライグ語の地名・人名のかな表記について―音声学的考察」の中で、J.G. Catfordの “phonological translation”の枠組みに基づき、カムリ語と日本語の音韻体系を比較してある程度妥当性のあるカタカナ表記の指針が示された。しかし、その後具体的な地名人名のかな表記リストは作成されず現在に至っている。
カムリ語には口語的には標準的発音なるものが存在しないと言われる。しかし、カムリ語の正書法の発達の歴史を見ると、口語発音からはかけ離れているものの、文章語発音には標準が存在し、その文章語発音を表したのが、現在のカムリ語正書法である。本発表では、綴りに準拠したカタカナ表記を提唱したい。このカタカナ表記は、口語発音との乖離という問題点があることも指摘しつつ、カムリの地名人名のカタカナ表記のリストを提示し、その妥当性を論証したい。
講演
「1847年ウェールズ『青書』を読み直す―
イングランド、帝国との関連も含めて」
講演者 平田雅博氏
ロバーツ『青書の言語――帝国の完全なる道具』は、ブリテン政府によるウェールズの労働者階級の英語教育の調査報告書である1847年の議会文書(いわゆる『青書』)に踏み込んだ分析を加えている。本報告ではこれを踏まえて、教室レベルの英語教育のミクロな空間とともに、マクロなレベル、ウェールズとイングランドとの関係、さらには「ウェールズと帝国」の観点から再読することを考えている。とりわけ注目したいのは近年研究が進んでいる「帝国」との関係である。ウェールズは「帝国」とはあまり関係ないものと考えられてきたが、南米のパタゴニア移民など従来から知られている海外との関係の他に、インドやオーストラリアといった文字通りの「帝国」との関係を明らかにしようとする動きが出ている。参考文献として、恐縮ながら、拙著『ウェールズの教育・言語・歴史――哀れな民、したたかな民』晃洋書房、2016年、を挙げておく。
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